髪の毛をポニーテイルにした若い女性は、丸い縁のサングラスとマスクをしていた。女の子でなければ職務質問をされそうだが、「さっき、警備の人に職務質問されました」と、彼女は言った。声は笑っていた。
 佐々木友哉が、彼女を「若い」と判断したのは、真っ白のミニドレスを着ていたからだ。上にはデニム生地のジャケットを羽織っている。トキからも、指輪を渡す相手の女性は二十七歳と聞いていた。四十五歳の彼から見ると若い女の子だった。
「専用ラウンジに行きましょう」
 彼女はそう言って歩き出すと、「ドイツ経由でワルシャワまでのチケットもあります。ファーストクラスですよ」
と言う。声柄は快活だった。