友哉は、ポケットに入れてあったサングラスを手にした。右手に鞄を持っていたから、口を使ってアームを引っ張り顔にかけた。彼女を覗くように見たかった。
「鞄、持ちますよ」
 不器用にサングラスをかけたのを見たのか、彼女がそう言う。声が上擦ったが、サングラスが怖かったのだろうか。友哉はそう思い、声色を柔らかくして、
「持たなくていいよ。俺のパスポート情報はどうした。しかもファーストクラスって」
と訊いた。
「トキさんからもらった。ファーストクラスはカードの特典で一名分は半額。でも仕事辞めてきたから後でいろいろ返してくださいね。先生、 荷物はそれだけ?」