「しかも純文学っぽいのにSF的な哲学が出てくる。そこは興味があった」
「どこ?」
「過去と今の君は違うって若い妻に言うの。それも感情的な恋愛論ではなくて、理論物理学的な話」
「ああ、時間が存在するかしないかってやつか。霊場に行く物語だからね。あの世には時間はなさそうだし」
「文学の先生なのに理論物理学って。真逆」
 ゆう子がおかしそうに笑った。
「十年前の奥原ゆう子と今、目の前にいる奥原ゆう子は同じ奥原ゆう子? 違いますって言ってみて」
「はあdots違います」