「なんで顔を隠しているの?」
「飲み物がきて、人がいなくなったらお見せします」
「顔に傷でもあるの?」
「そうきますか。次に何を言われるのか怖いですよ」
「アウトラロピテクスみたいな顔なのか?」
「やだな、作家さんは。すらすらと真顔でそんなジョークdots
「なるほど、有名人なのか。ここは守秘義務があると思うから、スタッフに見られても平気なんじゃないか。お客さんもほとんどいない」
「うん。あらかじめ言ってあった」
 女がマスクとサングラスを外すと、コーヒーを運んできた女性のスタッフが、「あ」と声を上げた。先程とは違う女性スタッフだ。
「奥原ゆう子さん」
 女性スタッフは嬉しそうに、彼女の名前を口にした。