その時、奥に座っていた中年の男性社員が慌ただしく駆け寄ってきて、「ササキ様。お金の用意ができるまで、応接室にきていただけませんか」と、テラーの宮脇の後ろから言った。
 友哉は少しだけ驚いたが想定内で、むしろ、テラーの宮脇がびっくりしている。まさに、見たことがない玩具に驚いた子猫のような目をした。
「いいですよ。この女性に案内してもらいたいな」
 深い意味はなかった。なんでもふっかけてやる、と事前に決めていた。