あの小説はどうなったんだろうかdots
 編集者に渡した小説を掲載した雑誌は見たが、単行本化の話は入ってこなかった。ゆう子が飛行機の中で口にした、死んだ妻を霊場に探しに行く男の物語だ。ゆう子はタイトルを忘れたと言っていたので、雑誌で読んだのだろう。「一冊読んだ」と口にしていたが、一冊と一本の違いなど気にせずに口にする女なのだ。
 しかし、友哉にはありえない幸運が舞い込んできていた。