「介護を頑張ってって送りだしておいて。わかりました。できたらね」
 ゆう子はやる気のない声柄で言った。
「ジェイソン氏の秘書からお話は聞きました」
「じゃあ、本当に三百億円あるんだね」
 ジェイソンとは、死んだ資産家の名前だ。三百億円の遺産を譲り受けた日本人のことは財界でも話題になったようだ。
 ゆう子から連絡が入った。
「三百億円ありました。ササキトキ名義です。友哉さんがその銀行に入ったら、システム全体に侵入できた。空白の時間もあったよ。でも、一秒くらいかな。午前十一時五十九分から一秒」