「あ、お金が目当てじゃないですよ。でもあのポルシェはかっこいいな」
 正直にスポーツカーに憧れを見せる。理性が崩れそうなその笑顔に、隠し事がないように見えた。大地の香りがするニンジンジュースを口にし、ほんのりと唇を付けただけで「美味しい」と上品に言う。友哉はまた彼女の所作に釘付けになった。
「駅前とかで、ナンパされるのを待っていたわけじゃないんだから、こういう出会いは悪くないと思う。君の銀行からも近いし、ここを僕らの待ち合わせ場所にしよう。楽しいデートもしよう」
 ゆう子に言う前に拒否された言葉を、目の前の違う女に口にしてしまった。