フェイスブックに、突き抜けた贅沢をした時だけ「感動」という言葉を使う知り合いの女がいて、それが羨ましいと思っていた。しかし、佐々木友哉は三百億円を持っていても、車のカタログを見ているだけで、今持っている鞄をもっと高価な鞄に替える気配もない。ゆう子さんが気に入っている赤紫と白の柄の鞄だ。彼はなぜ高級ブランド店で大人買いはしないのだろうかと、よく考えていた。ポルシェやブランド物を持っているのだから、清貧指向のケチでもないのだ。