「戦ってる男のひと」
「あんた、お母さんに対する嫌味だよね。殺すよ」
 母が目を釣り上げたのを見て、ゆう子はさっと顔を両手で隠した。
 米兵が嫌いで沖縄から出てきた母のその話をずっと聞かされてきたゆう子は、戦争映画の勇敢な男たちを見て、彼らに憧れるようになっていた。反抗期だったのだ。
「戦って家に帰ってきた男のひとを慰めるのが、女の役目だと思う」
「戦争映画の影響? それで女優になりたいとか言いだしたのか。そんなの昔の話よ」