その頃、涼子は高校一年生。父親の編集者、松本航と一緒にホテルにやってきていた。
 友哉は気を取り直して、大人びた所作を見せる利恵を見た。二十五歳とは思えないほど、優雅に振る舞う女だった。普段は長めのロングスカートを好み、風でスカートの裾が揺れると、その夏のそよ風がまるで彼女を運んでいるかのよう。奇妙な言い切り調の言葉遣いをするが、「昔は誰とでも敬語で喋っていて友達が出来なかった」と言っていた。