「行ってないらしい。映像と資料、それと本人のゲノムから採取したって」
「毛沢東やヒトラーのゲノムがあったのか」
「どっかにあるでしょ。妙な夢を持つと、傷つくよって叱られた。その男性が野心なんか持たないよ」
「言い得て妙だなあ。都会に夢を見て、東京の大学に入って、ボロボロになった」
 利恵がしんみりと呟いた。
 時間がどんどん過ぎていき、二人とも完全に酔いが回ってしまった時に、インターフォンが鳴った。友哉と思ったら、モニターには、松本涼子が映っていた。