と囁いた。
「厳しいも甘いも、ベッドの中も…」
「女には甘いだけだと思っている」
「うん。甘すぎる。もっと叱って」
 報道陣は、ゆう子のタクシーを追いかけて、誰もいなかった。謎の男、佐々木友哉に恐れているのもあるのだろう。
 友哉はそれを確認して、利恵に優しく唇をつけた。そして、「良かった。別れるのは、もう嫌なんだ」と、ほっとした表情を作った。 利恵は友哉の瞳がほんの少し潤んでいたことに気づかなかった。