とはいえ、五十万円もした。トキから、「秘書になる女性はその指輪をずっと外さないと思います」と言われていて、その意味も分からなかったのだが、美人で結婚適齢期の女性。自分とは結婚はもちろんしないが、もっとも女としては価値の高い歳でもあり、秘書の仕事も危険なもの。十万円ほどの指輪では「安い」と判断した。
「エンゲージリングとファッションリングとそれこそ結婚指輪の区別がつかなくて、それにしたんだよ。ファッション性が高いと思って」
「区別ですか。結婚指輪はずっとはめているから、機能性重視のもので、婚約指輪はこんなやつ?」
と、奥原ゆう子は、友哉からもらった自分の指輪を見せた。