ファーストクラスの二人が並ぶタイプのゆったりした席に座ると、ゆう子はタブレットをテーブルに置き、キャビンアテンダントからのサービスを受けながら、話を始めた。
「AZの画面に触れるとスイッチが入ります」
 AZとはタブレットの名前のようだ。
「もし次があってもファーストクラスにしなくていい」
「なんでですか」
「俺の趣味じゃない。君のその五十万くらいするドレスのような服も」
 ゆう子は少し思慮深い面持ちで、
「小説に出てくる男性が高級志向でした。先生の服もそれなりのブランドです」
と言った。