桜井が警察手帳を出すと、男は驚いて後退りして、「おまえの本、売れてねえな。ノーベル賞、取ってみろよ。どうせ、奥原ゆう子のヒモだろ」と叫びながら走って逃げて、なんと彼女を置いて行ってしまった。
「あのバカ面で本を読むのか」
 友哉が苦笑いをしていると、残された女が、「警察がいなかったら、わたしの彼の方が強いよ」と嘯く。友哉は女を無視して、早足で繁華街の奥へ歩き出した。
「置いてきぼりにされたわりには、男に失望しないんだな」