友哉に追いついた桜井が苦笑している。
「素敵なバカカップルだ」
 細い足を軽快に動かす友哉は無表情だった。
「ノーベル賞、取れるはずねえのに。まさに言ったもん勝ちってやつか」
「よく言われる。ヒットしても誰かのもっとヒットした作品と比較される。トップのトップのトップにならないとずっとアンチみたいな奴らに中傷される仕事だ。匿名でポルノ小説を書いていた方が気楽だ」