「惚れてないよ。それにどっちかと言うと利恵に怒った」
「もしかして、奥原ゆう子の片想いの男がこの人?」
 キャバ嬢の女の子が言った。歳は十九くらいだ。勝手に自分のカクテルを頼んでいる。
「男? ゆう子は男を男の人って言うぞ。しかもおまえ、客に向かってその口の聞き方は変だ。本当にここはVIPルームか」
「まあまあ、先生、怒るなよ。女に怒らないって誓ったんだろ。君ら、奥原ゆう子の話は忘れて、俺とこの人をしばらく二人だけにしてくれないか。後でまた呼ぶ」