「すみません。読んでない。それより温泉の話を聞かせて」
 父親に遠回しに嫌いと言われたが、母親の介護を拒否したら当たり前だと思っていて、そのうちに仲直りできると涼子は考えていた。こちらには、母親から無理やり学校に行かされた恨みがあるのだ。それを父、航は考慮してくれていた。しかし、『贖罪って小説のヒロインはそれとは関係なさそうだな』と首を傾げる。
「おまえが晴香ちゃんと佐々木先生と一緒にずっと遊んでいて、先生が執筆で籠もる温泉も一緒に行きたいって言うから冬休みや夏休みに行かせてたんじゃないか」