『目の前、目の前』が口癖なのはそのせいか。テロで殺されていく女たちは、彼にとって蒸発した母親だから、目の前のわたしたちのためにしか動きたがらない。
 利恵がセックスだけでも目の前にいればいいんだ。そんな利恵が戻ってくるとは思ってなかったから、あんなに嬉しそうだったのだ。お金を渡して別れるつもりだったのは、女の体が目当てでもない証拠だった。