ロスからの機内での会話だった。彼が疲れていたとはいえ、半ば本気にも見えた。行方をくらますには十分すぎるほどの金も持っている。
「そ、そうだ。寂しそうに海亀が見たいって言ってた…」
 ゆう子が呆然とした面持ちで、ロスのバーでの彼の言葉を思い出した。郷愁にとりつかれたような顔だった。温泉ばかりが嫌になったと言ったのも涼子のことがあったからで、だけどその涼子が帰ってきた。