「息苦しい。お酒の飲みすぎかストレスかわかんない」
 女優の奥原ゆう子はベッドの上で胡坐になって、心臓の辺りに手を置き、静かに擦った。パニック障害の発作だった。しばらく胸を擦り深呼吸をしていて、そのうちに横になり、浅い眠りに就いていた。
 ゆう子は二十七歳。二年ほど前からパニック障害の発作が出るようになった。ちょうど慕っていた父親が死んでからだった。夜、眠っている時の発作が多く、睡眠不足になり撮影現場で疲れるようになり、台詞を読んでいる時にまた発作を助長させた。
 ゆう子は真っ白な下着を穿き、それを露わにして寝ていた。
 指を股間に滑り込ませようとして、しかしまだ心臓が動悸している発作が鎮まっていなかったから、その行為を止める。ゆう子は父親が死んでから、お酒、ブランド物を買い漁る散財、そして彼氏がいない今はセルフプレジャーに依存していた。