「誰?」
 眠りかけていたゆう子はベッドの中で顔を上げた。部屋に人の気配がした。
 八階にある新宿の高級マンションの一室は、警備も厳重で、上だけ着ているスウェットの中にブラもしていない。スウェットはパジャマの代わりだが、疲れてしまうとそうなってしまう。
 だから、無機質に見える銀色のスーツを着た男が部屋に現れた時に、ゆう子は、「疲れてるんだ。これは夢だ」と慌てることもなかった。