挨拶もなく、男の長い話が始まってからも、手に物が当たる感覚があっても、「リアルな夢だなあ」と思って、少しずつ楽しむようにしていた。
「君が女優業を休みたいのは知っている」
 そんな話で始まった。
 男の名前は、「トキ」。
 現代から遥か未来、995年後の日本からやってきたと、少し微笑して教えてきたが、もちろんそれもよくあるSFチックな夢。何もかも信じなくて、ただ、「なかなかイケメンの未来人。だけど洋服のセンスが悪い」と、ぼんやりと考えていた。