2019年晩春。
 その日、奥原ゆう子は、テレビドラマの打ち上げパーティーから帰宅し、酔いを覚ましながら、惰眠を貪っていた。寝ては起き、また寝ては起きて、深夜の二時を過ぎた。
line体調が悪い。
 パニック障害の持病は日増しに悪化し、時間に追われて台本を読むと動悸がしてきて、息が苦しくなる。
「長い期間、休みたいな」
 いつの間にか起きていて、誰もいない部屋で、思わず口にしてしまう。それに気づいた時、ゆう子は目に涙を滲ませていた。