「わたしにはいませーん」
 おどけてみせると、彼はそれを無視して、また口を開いた。
「君たちの時代のSF映画などで想像されている通り、女は妊娠する必要がなくなり、子供たちは人工的に作られていた。自然妊娠がなくなり、女はすることがなくなり、強くなった。しかし、私の少し以前の時代ではそれ故に戦争が起こった。指導者になった女たちが戦争をした時代があった。快楽に耽り、創造を怠った。欧米の女たちは半数が死んでしまい、残った男たちがまた本質を追求するようになった。戦争の犠牲になった男たちを助けるために、そう、あるクスリの副作用に苦しむ男たちを助けるために、私は世界を支配する光をばらまいた。それら、すべてが手遅れだった」
 よく喋る未来の人だ、ゆう子はおかしくなった。しかし、彼が急に肩を落とし、
「父の遺言を聞けばよかった。臨終に間に合わなかった」
と言った。