「このひとは車椅子じゃないですか」
 姉妹と遊んでいたその後年、交通事故に遭い、車椅子の生活になったようだった。ゆう子はそう絞り出すように言うと、
「今は違う。わたしが治した」
 トキは答えた。
 ゆう子の頭の中に入ってきた優しいその彼は、交通事故に遭い、車椅子の生活に絶望していた。青白い顔で、だが決して泣くことはなく、時々、発狂したかのように笑い、急に空を見てはまた笑い、いつも一人の部屋でいた。なぜだろうか、事故の現場で泣いていた娘の姿もない。泣いていたのは背丈から妹のようだった。二人で公園で遊んでいて、次の映像では救急車が到着していた。ドキュメント映画のような映像は、退院した彼が部屋の整理を一人でしているシーンで終わり、シュレッダーで写真や何かの書類を処分していた。それが一年ほど前だと言う。