「思い出したくもないですか。だからもう死んでもいいと思っておられる」
「俺は自殺はしない。おまえの言葉は語弊だらけだ。人には寿命がある。俺の寿命は四十五歳だと悟っただけで、死にたいとは思ってない。そして足が治った今はもう気にしてない。たった今、沖縄辺りで美女と遊ぶ夢ができたよ。しかも怖いこともある」
「それはなんですか」
「女を愛することだ。女を愛すと死にたくないと思う。つまり弱くなる。次に俺が交通事故に遭った時、女がいなければ笑って死ねる。さっきのおまえの例題は俺には役にたたなかった。恋人はもう作らないから一緒にコーヒーも飲まない。旅行も行かない」