桜井は周囲を思わず見た。一人できてしまったことを後悔する。部下は松本涼子を見張らせていた。悪い予感で背筋が震える。見ると、酔っ払いの男がエスカレーターの傍で暴れているのが見えた。どこから持ちこんだのか刃物を手にしている。
「きゃ、物騒な世の中。でも、あれは怖くないな」
 晴香がそう言って、そそくさと歩いていった。暴れている男には警備員が駆け付けていて、桜井はそちらは放置し、晴香を追いかけた。