「晴香ちゃん、お父さんがきたよ」
 ゆう子が何度も声をかけたが、晴香は目を閉じたままだった。
 ゆう子のスマホの電話が鳴った。涼子からだった。
「もうすぐ着きます」
「ごめん。成田の近くの東洋病院に向かって」
「わかりました」
 涼子が、運転手に行き先を変えるよう告げている。すまなそうな声で、「すみません」と運転手に謝っていた。「天狗になってない、いい子なんだな」と、ゆう子は思った。