そう、松本航が返事をしたのが、娘の涼子に聞こえた。
「退屈、退屈、退屈!」
 横浜からの道中、助手席の涼子が連呼する。
「うるさいなあ」
 友哉はけれど笑っていた。学校で泣いてばかりの涼子が、喜色満面、はち切れんばかりの笑顔。そしてボーイッシュな言葉を作る。汚い言葉でもなんでもいいのだ。涼子が笑っていれば。
「好きな人と一緒にいて退屈とは失礼な女だ」