口角を持ち上げて言う。友哉のほんのわずかな勘違いに気づいたようだ。
 成田空港では「彼女になる」と宣言し、ワルシャワでは「セックスだけでいいんだ」と主張し、「死ぬまで傍にいる」と、いきなり愛を誓い、さて、今度は何を言い出すのだろうか、と友哉は常に身構えていた。
 十日間、友哉とゆう子はセックスだけをしていた。
「愛のないセックスはやめておけ」
と機内で説教をしたが、お互いがそれを分かっているなら問題はなかった。