第九話 ゆう子の右手

テスト

「何度も抱かせてくれた美女が、しばらくしても隣にいてくれている。その美女と簡単に別れないっていう責任だ。俺から別れる権利もない」
「うっとりしますよ。でもちょっと謙虚すぎる」
「今、目の前の真実を見ろ。妙な夢と希望は持つな。そんなことを教える約束もした。偉そうにな」
「見てきました。妙な夢はあの人に叱られてきた」
大河内に視線を投じる。彼はゆう子からもらったサンドイッチを嚙締めるように食べていた。
「夢も希望もない生き方も悪くない。人を傷つけないし、死ぬ時に、まだ夢があるのにって泣くこともない」
「わたしが三年後に、友哉さんと生き続ける夢は捨てた方がいいの?」
「おまえに魅力があれば黙っていても、誰かが助ける」
「そうね。夢の話ばかりしている人って孤立していくよね」
「俺がそつなく助ける」
「そのやる気のなさ。逆に信用できるよ」
ゆう子が笑った。